第3章 不穏な心
胸の中がじんわりと温かくなって、私は赤司さんに頭を下げた
「ありがとうございます、赤司さん」
「…別にいいさ
それより、全部あるか確認した方がいい
そこの怪物が何か見落としたものがあるかもしれないよ」
「んなわけねーだろ!俺と黄瀬でちゃんと隅から隅までくまなく探したっつーの」
「それでこの木箱一つ分だけか?」
「おう」
「あ、本当にこれだけなんです」
「そうなのか?」
「はい」
「…ならいいが」
屋根裏部屋にはそんなに物を置ける程のスペースはなかったし、それ以前に置くほどの物なんて今の家になってからは買ってもらえなかった
とは言っても、私は元々何かを強請るような性格ではなかったから
生前の父と母から貰ったものを全て合わせても、この木箱一つで十分収まってしまう量なのだ
懐かしくて、嬉しくて
私は箱の中の物を一つ一つ手に取っては感触を確かめた
すると、箱の一番奥にキラリと光るものが見えた
「(あ!)」
すぐに感づいて、それを引っ張り出す
チリンと可愛らしい音がしたそれは案の定、金色をした小さな鈴の御守りだった
「…それは……」
その鈴を見て、赤司さんが目を丸くした
その反対側から火神さんも鈴を覗き込んだ
「あぁ、それ、10年位前に町で流行ってた奴だよな」
「ええ」
「…流行ってた?」
「ああ、赤司は知らないよな
これな、自分の恋人と2人で持ってるとずっと一緒にいられるっていうおまじないらしーんだよ」
「……」
「だよな名前」
「ええ、女性が金色で、男性が銀色の鈴を持つんです」
「…………」
「…ん?どうした赤司」
「…いや、別に」
「?赤司さん…?」
「…何でもないよ」
「「?」」
口に手を当てた赤司さんは明らかに様子がおかしい
…どうかしたのだろうか