第3章 不穏な心
「赤司ー、朝から悪ぃんだけど」
「火神さん!」
「…あ?……え?、お前、名前?」
赤司さんの部屋に私がいたことに驚いたのか、火神さんは私を見るなり目を大きく見開いた
「な、なんでお前ら…
いつから同じベッドで寝るような関係に」
「違う」
「…だよな、ビビったわ」
「…くだらないこと言ってると吸い殺すよ」
「うわ、お前、相変わらず酷いなぁ」
物騒な会話だけれど、二人が親しいことが雰囲気でわかった
…本当に昔からの知り合いらしい
というか、こんな朝から何の用事だろうか
「ほら、持ってきたぞ、これ」
「ああ、ありがとう」
「…何だその感情の籠もってないお礼…
まぁいいわ、」
言いながら部屋に入ってきた火神さんは持っていた小箱をテーブルの上に置いた
…なんだろうか、あれ
赤司さん宛の宅配便か何かだろうか
…はて、怪物にも宅配便なんて届くのか
「あ、名前いるなら丁度いいな」
「え?」
「…おいで、名前」
よくわからないまま2人に手招きをされる
おずおずと近付いてみると、テーブルに置かれた箱の前に立たされた
「?あの…」
「よし、見て驚くなよー名前!」
「え?」
火神さんは自信満々でその箱の蓋を開けた
恐る恐るその中を覗き込んでみる
すると、
「…あ……っ!」
中にあったのは、祖父と祖母の写真や父と母と3人で撮った写真
古くなったアルバムや、母からもらったアクセサリーなどだった
信じられない
だってこれは、あの家に置いてきたはずのものばかりだったから
とっさに火神さんを見る
驚きを隠せない様子の私に、火神さんはすごく満足げに笑った
「火神さん、これ…っ」
「そそ、全部あの家の屋根裏部屋…
お前の部屋にあったものだ
赤司ん所に来る時に全部置いてきちまっただろ?」
「はい…」
「でも名前にとったら大事な物ばかりだろうしな
だから、家の奴らに棄てられる前に荷物全部引き取ってこい!
…って命令されたんだよな、そこの怖い悪魔に」
「え……?」
言いながら火神さんが指差した先にいたのはまぎれもなく赤司さんだった