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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第3章 不穏な心





次の日、目を覚ますと視界に入ってきたのはいつもと違う天蓋だった


隣には静かな寝息を立てる赤司さんがいる




「(……あ……)」



そうだ


昨夜、泣いてしまった私を赤司さんがずっと抱き締めていてくれて


どうやら、私はそのまま眠ってしまったようだ



…泣き寝入りなんて情けない




段々と意識がはっきりしてくると、私の身体はまだ赤司さんに抱き締められていた



…もしかしたら、一晩中こうしていてくれたんだろうか


だとしたらものすごく迷惑をかけてしまっただろう



…何やってるんだろうか、自分




赤司さんの腕の中で小さく息を吐くと、
身体に巻き付いていた腕がもぞ、と動いた



赤司さんを見ると、閉じられていた瞳がゆるゆると開かれて、私を捉えた瞬間に丸く見開かれた




「名前…」


「…あ、あの…おはようございます」


「……おはよう」


「…すみませんでした、昨夜は」


「いや、悪いのは俺だ」


「いいえ、そんなことありません!」


「…いいから、もう気にするな」


「…ですが、」


「もう二度とあんなことはしないから」


「……………」




さら、と額にかかる前髪を手で払ってくれる赤司さん

やっぱり優しい顔をして無意識に残酷なことを言う




でも、昨夜よりは落ち着いたらしくて
私は何とか笑顔を返すことができた



起き上がってベッドから降りると、
赤司さんも反対側からベッドを降りた


髪を手櫛で整えていたら、不意に赤司さんが近付いてきた




「…言っておくが」


「?」


「……変なことは、していないよ」


「え?……あ、」




赤司さんの言葉に、私は瞬時に自分たちがしたことを理解した


そうだ

同じベッドで寝たんだ


しかも抱き合って、だ




…今更すごい羞恥に襲われた


目の前に立つ赤司さんの顔をまともに見れなくて俯くと、赤司さんはそんな私を見て笑いながらいつものように頭を撫でてくれた



…やっぱり彼の方が一枚上手のようだ




そんなことをしていると、
コンコン、とドアがノックされた



テツヤさんだろうか


私がそう思っていると、ガチャ、と返事も待たずに開いたドアから見覚えのある黒髪の頭が覗いた






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