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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎


ザァ、と葉が揺れる音


でも全然怖くなかった



…赤司さんがいるから、なのだろうか




はぐれないようにと歩幅の広い彼の後を少し小走りでついて行くと、慌ただしい足音に気付いたのか赤司さんはゆっくり立ち止まって私を振り向いた




「大丈夫か?」


「え?」


「…少し速かったな」




赤司さんの言葉に、初めて息が弾んでいることに気が付いた


…夢中で気付かなかった


赤司さんはすまない、と小さく呟くと、私の横に回った




「嫌だろうが、着くまで我慢してくれ」


「?何が…、…………っ!?」




何がですか?と尋ねる前に、赤司さんの腕が私の体に巻き付いた


声を上げる間もなく、私の目線はぐん、と高くなった



え、ちょ…っ!


いきなりのことに、私は赤司さんの頭にしがみついた




「あ、赤司さ…っ」


「あと少しだから、大人しくしてろ」


「で、ですが…私、自分で歩けます」


「ここから先は足場も悪くなる…
いいから、嫌でも我慢するんだ」




ぴしゃりと言われて、返す言葉が見つからなかった


赤司さんは自らの腕に私を座らせるような形で、私を抱き上げたまま歩き始めた




『嫌でも我慢するんだ』



「(嫌でも、我慢……、)」




嫌?


自分自身に問い掛けた



さっきから心臓は忙しなく動いているけれど、決して嫌悪感からくるものじゃない


むしろ心地良いくらいだ




「……あの、」


「ん?」


「……ありがとうございます」




ぎゅう、と広い肩にかかる真っ黒なマントを握り締めると、赤司さんは少しだけ私の方を見た



元々近くにあった頭が私を見上げて、
お互いの顔がものすごく近い


頬が火照っていく私とは対照的に、
赤司さんは涼しい顔で私の顔を見つめると、「あぁ」と言ってまた前に向き直った



……び、びっくりした

ほー、と胸の中で息を吐く



私はさらさらの髪に指を埋めて、しがみつく振りをして赤司さんの頭を抱き締めた


…いや、別に変な意味ではなくて



ただ、恥ずかしすぎて居たたまれなくなったというか


とにかく、変な意味ではない
断じて違う



赤司さんの頭の上で、
私は熱を帯びた頬を冷やすのに必死だった
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