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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎







その夜


言われた通りに部屋で待っていると、
ドアがコンコン、とノックされた



そっと近付いて、ドアノブを回す



ゆっくり開いたドアの隙間から、
赤司さんの顔が見えた




「上着」


「え?」


「着ないと風邪を引くよ、夜は冷えるから」


「あ…はい」


「持っておいで」




優しい口調に言われるがまま、私は部屋の中に戻ってクローゼットを覗き込んだ


手前にあるワンピースをかき分けると、
奥の方には上着らしい服が何着かあった



その中から薄い桜色をしたカーディガンを手に取ると、袖を通しながらドアに戻った



「じゃあ行こうか」


「はい」



赤司さんは昼間とは違って
またタキシードとマントに戻っていた


本来、吸血鬼は夜を生きるものだから
これが彼らの正装なんだろうか


玄関に着くと、テツヤさんが待っていた



「行ってくるから、何かあったら適当に対処しておいてくれ」


「わかりました、お気をつけて」


「行くよ、名前」


「あ、はい」


「名前さんも、行ってらっしゃい」


「!」




テツヤさんが何気なく言った言葉に、
私は少しだけ胸が熱くなった


だって、それを聞いたのは10年振りだったから




「…い、行ってきます……っ」




精一杯返すと、テツヤさんは今朝のように
にっこり笑ってから頭を下げた



私はそんなテツヤさんを振り返りながら、
目の前の大きな背中を追い掛けて森に入っていった




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