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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎








「…連れて行って下さいますか?」



恐る恐る言ってみると、
赤司さんは満足げに笑った



「もちろんだ」




その笑顔に、私はまた顔を赤くした


ああ、もう
顔に出過ぎだろう、私



紅潮した頬を見られないように、と俯くと
ベンチに落としていた手がいきなり温かくなった


驚いて下を見ると、赤司さんの手が私の手の甲に覆い被さっていた



ドクン、と一段と大きく心臓が波打った



更に顔を赤らめた私にお構いなしに、赤司さんはするり、と私の手の下に自らの手を滑り込ませてきた


赤司さんの大きな掌が私の掌と重なっている



…これは、どういう状況だ




「…あ、の……」


「別に握らなくていい」


「え…」


「握らなくていいから、重ねていてもいいいか?」




その言葉通り、赤司さんの手は私の手を握るような素振りを見せない


本当にただ重ねているだけで、
お互いの手の温もりがじんわりと伝わってきた





「これもそうだよ」


「え?」


「ゆっくりでいい」


「ゆっくり?」


「そう、君のペースでいい」


「…………」


「…君が握り返したいって思うまで、握らなくていいから」


「…いつになるか、わかりませんよ」


「いいさ別に
時間はいくらでもあるからね」



俺もそれまでは握らないから



そう言ったきり、赤司さんは黙り込んだ

私は小さくはい、と返事をした



するとそれが聞こえたのか、赤司さんの指が私の手の下でぴくり、と動いた


それからすぐに、「あぁ」と短い声が聞こえる



…このひとは、一体どこまで私の意志を尊重してくれるんだろうか


手くらい無理やりにでも繋いでしまえばいいのに



『振り解いたら吸い殺す』とでも言って、
握らせればいいのに




ちらり、と赤司さんを見ると
もう片方の手で小鳥を遊ばせていた



…本当に、よくわからないひとだけれど





「(時間は、いくらでもある…)」




今は重なっているだけの、お互いの手


いつか




いつか、握り返せる時が来るのだろうか

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