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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎




何か話題はないのか、と必死に考えていると、隣の赤司さんが「名前」と声を掛けてきた



「は、はい」


「別に、無理して話そうとしなくてもいい」


「え…」


「ゆっくりでいいんだ」


「!」




ふわり、昨夜のようにまた頭を撫でられる

温かい体温に何故か目が潤んだ




「そんなにすぐに慣れろとは言わないし、
今すぐ俺のことを理解しろとも言わない

だから、ゆっくりでいいんだよ」


「ゆっくり…?」


「そう、ゆっくり
時間はいくらでもあるからな」


「…………」


「だから、頑張って話し掛けようとしなくていい

君が話したくなった時に話し掛ければいい」


「…はい」





胸の内を言い当てられたような感覚に、
私は返事をする以外に何も言えなくなった


ていうか、なんなんだろう



人間よりも優しい吸血鬼なんて聞いたことがない


手は温かく私の髪を梳いて、瞳は優しく私を見下ろして


どうしていいかわからなくて、
結局私は俯いてしまう



それでも赤司さんさんはただ黙って
ゆっくりと頭を撫でてくれた


「…ああ、そうだ名前」


「はい」


「今夜、君を連れて行きたい場所があるんだ」


「え?」


「森の奥なんだが」


「…森、ですか?」


「大丈夫だ、俺といれば他の奴らは襲ってこないから」


「……いいんですか?私、屋敷から出てしまっても」


「君1人で、っていうことなら許可できないが、
俺も一緒だから、別にいいよ」


「……………」


「どうする?行く行かないは君の自由だよ」




頭から手を離した赤司さんは昨夜と同じように表情一つ変えずに私を見つめた


そんなの、聞かなくたって無理やり連れて行くことだってできるだろうに


わざわざ私の意志を確認してくれるなんて律儀な吸血鬼だ

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