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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎


「名前」


「はい」


「何か必要な物とか、欲しい物があったら遠慮なくテツヤに言うといい」


「え…?」


「枕や布団も、眠りにくいようなら言ってくれれば変えるよ」


「そ…そんな、」


「…この屋敷からは出さないが、
他はなるべく良くしてあげられるが」


「……………」


出さない、か


出してあげられないけど、ではない所に
少しだけ複雑な気持ちになった

「……あの、」


「ん?」





どうして、そんなに良くしてくれるんですか?


私は何の為に呼ばれたんですか?


どうして、私なんですか?




聞きたいことが頭の中をぐるぐると駆け巡る


でも、追々話すと言ってくれたし
催促するのもやっぱり気が引ける




「何だ?」


「あ…えと、」




ちらり、と赤司さんを見るとその綺麗な瞳には私がうつっていて、吸い込まれてしまいそうな色に私は完全に頭の中がフリーズした



口を開いたまま何も言わなくなった私に、赤司さんは少しだけ眉間に皺を寄せた


その怪訝な表情にハッとして、
私はまた俯いてしまった




「……あの」


「あぁ」


「…赤司さん、は」


「あぁ」


「と…動物、お好きなんですか?」




苦し紛れに口から出たのは
桃井さんから聞いた話だった


ああ、私の馬鹿



なに変な質問をしてるんだろう


絶対、もっと怪訝な顔をされているんだろう


もう嫌だ、なんなの私



恥ずかしさのあまり両手で顔を覆うと、赤司さんの声がした


「……そうだな」



少し考えるような口調に顔を上げると、
彼は何かを思い起こすように話し始た


「確かに、従順な動物は嫌いじゃないよ」


「そ、そうなんですか」


「あぁ」




会話終了


どうしよう

何だかこの沈黙が堪えられない



息苦しい訳ではないけれど、何か話さなければ、という気持ちばかりが態度に出てしまう


「…いいお天気ですね」


「そうだな」


「…………」


「…………」


「赤司さんは、魚とかは好きですか?」


「…大きさにもよるが
熱帯魚は嫌いじゃないよ」


「そうなんですか」


「あぁ」


「………えっと」


「……………」


「……………」



ああ、また会話終了してしまった

どうしよう

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