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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎






そろり、そろりと近付いてベンチの横まで来ると、足を組んで座っていた赤司さんがちらり私を見上げた



ドキン、と心臓が跳ねた





「おはよう」


「お…、おはようございます」


「眠れたか?」


「はい、お陰様で」


「そうか」




こっちへ、と横にズレた赤司さんに「いいです」なんて言えるはずもなく、私はゆっくりと赤司さんの横に腰を下ろした




「名前、名前っ!」


「きゃっ…」




座った途端に、目と鼻の先にさっきの小鳥が飛んできて私を呼んだ



可愛い、可愛いんだけれど

近すぎる…!



思わず片目を瞑ると、隣にいた赤司さんが私の方に手を伸ばしてきた




「ほら、困ってるだろう」



まるで悪いことをした子供を叱るようなどこか優しい口調


すると、その小鳥は大人しく赤司さんの指先に止まった




「まぁ…可愛い」


「あぁ、悪戯ばかりするが」




ぴし、とその小鳥を指で弾いた赤司さんの横顔をちらり、と見上げる




「……………、」




初めて会った時も
昨夜部屋で話したときも、
辺りが暗いせいでよく見えなかったけれど


…本当に綺麗な顔をしている



赤い髪はさらさらしていて、
朝日に照らされて輝いている


小鳥を見下ろす紅い色の瞳はとても優しくて温かくて、口元には柔らかい笑みが浮かんでいた



…一見すれば、絶対に吸血鬼には思えないくらいに柔らかい眼差し


自分が見つめられている訳ではないのに、
何故か頬が赤くなるのを感じた


すると、敏感にそれに気が付いたらしい彼は小鳥から視線を外して私を見た




「どうした?」


「えっ」


「顔が赤いよ」


「え、あ…」




上手い言い訳が見つからなくて俯くと、
赤司さんはくすくす笑った



…赤司さん、笑うんだ

その笑顔を見たいと思ったけれどどうしても顔を上げられなくて、私は頑張って話題を変えた




「その子、名前はなんて言うんですか?」


「これか?」


「はい」


「さぁ、名前は付けてないよ。こいつもたまにしかここにこないからな」






なるほど



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