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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎





首を伸ばして指先に視線を送る



すると、黄色くて丸いふわふわしたものが
赤司さんの指先でもぞもぞ動いていた


…何、あれ



あれも怪物だろうか

それにしては小さすぎる気が…



でも、出て行く勇気もない私はそのまま赤司さんの後ろ姿を眺めていた


すると、赤司さんの指にその黄色いものがちょん、と乗って、彼はその指を顔の前に持っていった



え、なに?

赤司さん自身が壁になって黄色いものが見えなくなる



ほんの数秒、赤司さんはその体勢のまま動かなくなって


でも次の瞬間、その黄色いものがぱたぱたと赤司さんの頭上から飛び立ってきた



そしてそのまま、私の方に飛んできた



ちょ…え、



「な…なに…?」


理解できずに、でも逃げるでもなくその場でじっとしていると、その黄色いものが私のすぐ近くまで来た


そして、それと同時にその正体も明らかになった

「あ…鳥?」



怪物かと思っていたのはただの鳥で、
真っ黒な瞳をくりくりさせながら
私の前でぱたぱたと羽を動かしている



…だめだ、怪物の屋敷、というだけで
見るもの全てが怪物に見えてしまう




なんて考えていると、その鳥はしばらく私を見ていたかと思うといきなり口を開いた




「名前、オイデ!」


「え…」


「オイデ、名前!コッチ、オイデ!」



さっきと同じ甲高い声だった


……さっきの「征十郎、征十郎!」って、この子だったのか




「名前、オイデ!」

「あ…」




同じ言葉をひとしきり繰り返した後、
その子はまたぱたぱたと赤司さんの方へ戻っていった



……え、つまり今のは


赤司さんが私に「おいで」と言っている、ということだったのだろうか


話し方からして、自分の意志で言っているようには思えなかったし




「名前、オイデっ!」




赤司さんの方から、また声がした


………やっぱり少しだけ緊張するけれど、接しなければ『本当の赤司さん』なんていつまで経ってもわからない



私はぎゅっと手を胸の前で握り締めて、
恐る恐る赤司さんに近付いていった
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