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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎






ふぅ、と息を吐き出してドアを閉めた


…私、本当に今日からここに住むのか

実感が湧かないというか、何というか




何だか落ち着かなくて、ドアの反対側にある窓に歩み寄った


朝日に目を細めながら、カチャリと格子模様のガラス張りの窓を開けてみる




「…わぁ……、」




昨夜の真っ黒な森は一変、所々紅葉しかけている緑の森はいつものように美しく風に吹かれている



バルコニーに出てみると、
爽やかな微風が頬を撫でた


…こんなに穏やかな朝は何年振りだろう



今までは、朝起きたらすぐに朝食の準備や洗濯に追われていたし

朝にこんなにゆっくりできるなんて夢にも思わなかった


コンコン、


ぼーっとしていると、
背後のドアがノックされた

テツヤさんだ


そう思ってドアに駆け寄って開くと、
案の定ワゴンと一緒にテツヤさんがいた




「お待たせしました」




待ったというほど待っていないのだけれど


なんて思っている間に、テツヤさんは「失礼します」とワゴンを押して部屋に入って、
てきぱきとテーブルの上に朝食をセッティングしてくれた


手際の良さに感心しているうちに、
準備が完了してしまった



「どうぞ」


「あ…、ありがとうございます」



席につこうとすると、テツヤさんが後ろで椅子を引いてくれた



…あれ、何だか本当にお姫様みたいだ


改めて目の前の朝食を見た



少しだけ、ほんの少しだけ
蝙蝠のスープとか蜘蛛のサラダとか、
人間離れしたものだったらどうしようと思っていたけれど


「美味しそう…」




白パンにスクランブルエッグ、
ポタージュにレタスのサラダ


テツヤさんがポットからカップに注いだのは
綺麗な飴色をした紅茶だった



………普通、だ

いや、普通というよりも
今まで食べたこともない位美味しそうだ




「いただきます」


「はい、どうぞ」




早速紅茶に手を伸ばした


まさか、ここまできて毒が入ってるんじゃないか、と疑うことはせずに一口飲んでみる




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