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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎


「……ん…」



瞼の裏を刺すような眩しい光に、
私はゆっくり目を開けた


見慣れない天蓋が見えて、
あら?と首を傾げる




背中にはいつもの冷たくて固いベッドの感触はなくて


ふわふわとしていて温かく、
それでいて真っ白なシーツの滑らかさ



頭の下にも、沈んでしまいそうなほど柔らかい枕があった




一瞬、本気で何がどうなっているのかわからなかったけれど、起き上がった瞬間に思い出した



そうだ、ここ……




「赤司さんの……」




赤司さんの屋敷だ


私は昨日、ここに住むことを承諾した

…いや、住まわせてもらうことにしたんだ



きょろ、とベッドの上から辺りを見渡してみる


今まで起き上がってから一番最初に目に入るものといえば、薄汚れた壁に継ぎ接ぎだらけのシーツに、今にも崩れ落ちてしまいそうな屋根裏部屋の天井だった



でも、今目の前にあるのは真っ白の壁に真っ白のシルクのシーツ



天井には小さなシャンデリアがついていた




「………………」




何だか、どこかのお姫様になったような感じがする



…なんて、そんなことはありえないけれど



朝日が柔らく降り注ぐ部屋は、
とても吸血鬼の屋敷とは思えなかった




ゆっくりベッドから降りると、足元には少しだけヒールのついた可愛らしい靴が置いてあった


あれ、眠るときにこんな物あっただろうか


なんて、昨夜眠った時のことなんてほとんど覚えていないけれど


余程疲れていたのだろうか、部屋の中を見て回っていたつもりが、いつの間にかベッドに入って寝てしまっていた




「…………」




念の為に、一応自分の体を見渡してみる


…うん、別に何かされた形跡はない

着ているワンピースはどこも乱れていないし、体の調子もいつも通りだ




「着替え…」




ぽつりと呟いて、ベッドのすぐ横にあるクローゼットを開けてみた


何着もの服が綺麗に並んでいる



見てみると、全部ワンピースだった


白を基調とした、控えめで清楚なデザインのものが多い



なんだ、怪物が用意した服だからどんなにケバケバしたものが出て来るのかと思えば


なかなか私好みでホッとした



とりあえず一着選んで着てみると、
サイズもぴったりだった


…いつ測ったんだろうか




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