第2章 本当の赤司征十郎
「…名前さん」
「はい」
黙ってあれやこれや考えていると、
いきなり隣のテツヤさんが私に話し掛けた
…やっぱりちょっとびっくりした
「…来てくれて、ありがとうございます」
「…え…」
「赤司君は、あなたが来るのをずっと心待ちにしていましたから」
「私が来るのを…ですか?」
「はい」
「そうなんですか…」
なんとなく、「どうしてですか」とは聞けなかった
どうせ聞いた所で「私の口からは言えません」とか何とか言うんだろうし
「本当に、ありがとうございます」
「桃井さんにも、同じことを言われました」
「あ…、そうでしたか」
「…赤司さんには、いいお知り合いが沢山いらっしゃるんですね」
「ええ、人間からしてみれば、赤司君の印象は悪いでしょう
でも、身近な存在から見ると彼は本当にいい人ですよ。」
「……そうなんですか…」
「名前さんも、一週間もここで暮らせばわかると思いますよ」
にこ、と笑いかけたテツヤさんは、
すごく自信たっぷりだった
…そんなに“いい人”なのか
「…ああ、着きましたよ」
うーん、と俯いていると、
テツヤさんがいきなり立ち止まった
顔を上げると、シックなドアの前だった
「さぁ、どうぞ」
テツヤさんが執事のようにドアを片方開けてくれて、私は部屋に入った