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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎






ふかふかの絨毯が敷かれた廊下をテツヤさんと並んで歩く


靴のない私にはありがたかった



ふ、と廊下に面した窓を見ると、真っ暗で広い森の向こうに微かに町の明かりが見えた



…今頃、姉たちは何をしているだろう


私が死んだ、と喜んでいるのだろうか

清々した、と笑っているのだろうか




「…名前さん?」




テツヤさんの声に我に返る


いつの間にか立ち止まってしまっていたらしく、私は慌ててテツヤさんの隣に戻った


そしてまた歩き出す



…さっき撫でられた頭が何だかまだ温かい気がする


というか、あんなに優しく頭を撫でられたのは本当に久しぶりだ





『厄介払いができて清々するわ』


『あんたなんて、吸い殺されちゃえば』





「……………」




赤司さんが何を考えているのかはまだわからないけれど


でも、あの家に戻るくらいなら断然こちらにいたい



なんて、そう断言できるほど赤司さんとは親しくないし、出会ったばかりだし


そして何より赤司さんは吸血鬼


怪物、だ




安心していい訳がない


それはわかっているけれど



でも、何故かわからないけれど
赤司さんに会ってもこれっぽっちも『怖い』と思わなかった


あのひとが赤司さんだと知る前から見知っていたからかもしれない


命を助けてもらったから、いいひとだと錯覚しているだけなのかもしれない



でも、理由はどうあれ怖くはなかった


むしろ、人間の姉や母よりも優しかったし
テツヤさんだって、ものすごく礼儀正しいし



火神さんや黄瀬さんのように、
怪物といっても善良な怪物もいる



そして、そんなひと達に『優しい』『いい奴』と言われるような赤司さん



…少しだけ、信じてみよう


そう思った



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