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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎


呼んだのは殺す為じゃないとしても
ここに住まわせるのは何の為だろうか


殺さないと言って最初は安心させておいて
後々吸い殺すつもりなのかもしれない

というか私が選ばれた理由もはっきりしない

わからないことだらけだ


ここは普通断るべきなんだろうけれど

でも

『本当の赤司君を見てあげて』



桃井さんの言葉が蘇った


そうだ
確かめなきゃ

自分の目で、ちゃんと



『これからは、赤司君が護ってくれるから』


改めて赤司さんを見た


切れ長の紅い色の瞳は真っ直ぐに私を見つめている



表情一つ崩さないまま、
ただじっと瞳の中に私をうつしている


…会ったばかりだし、このひとのことは何も知らないけれど


でも、知らないなら知ればいい



それに、胸の鼓動にまで私は嘘をつけない



今だってそう



部屋に入ったばかりの時には緊張やら恐怖やらで飛び出そうな程に高鳴っていた鼓動は、

今ではトクン、トクンと心地良い音をたてている




…大丈夫


まるで、自分自身に言い聞かされている気がして




「…私、……」





安心していい根拠なんてない
確証もない



でも、私は







「ここにいても、いいんですか…?」




私は、桃井さんや火神さん達を信じたい


その答えを聞くと、赤司さんは少しだけ目を見開いてからすぐに目を細めて、ふっと笑った



初めて見た笑顔に、トクン、とまた心臓が鳴った




「…あぁ、」



なんだか安心したような声と一緒に、
彼の右手がゆっくりと私の方に伸びてきた


でも拒む気にはならなかった
本当に不思議だ



そのままじっとしていると、
彼の手は私の頭に乗った



その手は、私が思っていたよりも
ずっと大きくて温かくて


何よりも優しくて


「…今日は色々疲れただろう?
話は明日にして、もう眠るといい」


さら、と髪を梳くように撫でる彼の手


怪物の、吸血鬼の手なのに

何故か私はその手に母のような優しさを感じていた。


するりと手が離れると、
テツヤさんが私の横に来た


「それじゃあ、部屋まで案内します」


「あ…、はい」


「おやすみ、名前」


優しい笑顔に見送られて、
私はテツヤさんと一緒に部屋を後にした
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