第2章 本当の赤司征十郎
「…あの家は、元々きみが母親と父親と住んでいたんだろう?
後から転がり込んできたのはあの女達の方だ。
本来、あの家の令嬢は君だからね」
ペラペラと話す赤司さん
私は当然驚いた
…どうして、吸血鬼の赤司さんが私の家庭事情なんて知っているんだろう
「…君じゃなくあの女が来たら
その場で八つ裂きにして、どちらにしろ君を迎えに行くつもりだったが」
「………どうして、私を…」
「それは追々話すさ
テツヤ」
あの時と同じように赤司さんが呼ぶと、
私の背後のドアからテツヤさんが出てきた
…ちょっとびっくりした
「はい」
「名前を部屋に案内してくれ」
「はい、わかりました」
「部屋?」
「ああ、きみは今日からここに住むんだよ」
「…え?」
ちょっと
今サラリとすごいことを言わなかったか
なんだって?
私が今日から住む
ここ、に?
「あ、あの」
「何だい?」
「…私、殺されないんですか?」
「…」
なんだそれはと顔をしかめた赤司さん
たぶん私はそれ以上に怪訝な顔をしていたに違いない
え、だって
私は吸い殺される為に呼ばれたんじゃないのか
だから、わざわざあの手紙を…
「火神や黄瀬に何か言われたのか?」
「いいえ!決してそんなことは…」
「ならどうして」
「どうしてって」
「俺がきみを殺すつもりで呼んだ、ときみが判断した要因は何かな」
「それは……」
それは
………なんだ?
「…あら?」
「その様子じゃ、無いみたいだね」
「………そのようですね」
「じゃあ文句はないな。
俺はきみを殺す為に呼んだわけじゃない。
理由はさっきも言ったように追々話すよ。
…だが、きみがここに住むことに抵抗があるなら今すぐにテツヤに家まで送らせるよ」
自由に選ぶといい
ここに住むか、あの家に帰るか
そう言ったきり、赤司さんはまた黙って私を見つめてきた
返事を待っているんだろう
私は必死に頭の中を整理した
というか、こんな状況で冷静な判断をしろだなんて無理な注文だけれど
いきなりすぎて何が何だか…
彼は確かに今、私を殺す為に呼んだんじゃないと言った
でも彼の真意はわからない