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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎


あっさりと認めた彼…赤司さんに
私はさっきよりも茫然とした


いや、茫然というよりは唖然とした



信じられなかったけれど、
心の奥で何かが繋がったような感じもした



こんなに強くて格好良いひとが、
町や村で全く噂に上がらなかった理由も


あんなに強いのも、私を襲おうとした怪物が彼を見た瞬間に怯んだ訳も



全部、彼本人が吸血鬼の赤司征十郎だったから



だから、だったんだ





「……………」




ますます言葉が見つからなくて、
目の前の彼を真っ直ぐ見つめられなくなった


それもそうだろう



命の恩人が吸血鬼赤司征十郎だったなんて
動揺しない方がおかしい



……でも、




『赤司君は優しいから』


『アイツ、意外といい奴だったんだよな』


『ぱったりと人間を襲わなくなったんだ』





もし、あの3人の言葉が本当だとしたら
別に恥じることでも何でもない


それに、吸血鬼であれ何であれ助けてもらったことに対して感謝するのは当然だし



自分を正当化しながら何とか呼吸を落ち着けようと頑張っていると、頭上から少しだけ不安げな声がした



「名前」


「は…はい」


「……帰りたいなら、帰ってもいい」


「…え…」




じぃ、と私を見下ろす不思議な色の瞳


…え、ちょっと待て



「あの」


「何だい?」


「帰りたいとか帰りたくない以前に、
私をお呼びになった理由は何なんですか?」




そうだ

そういえばまだ理由を聞いていない


というか、その前に一番大切なことがあるだろう




「…というか、私で良かったんですか?」


「何が?」


「…ですから、ここに来たのが」


「?何をいっている」


「なんで、って……
あの家の令嬢は私ではなく姉です

本来なら、ここに来るべきだったのは姉のはずだったのですが…」




彼は少し考えた後、ああ、と私が言ったことを理解したように軽く頷いた




「いいんだよ

俺が呼んだのは名前、君だからね」


「え…」




私は思わず首を傾げた


つまり、ええと

…どういうことだ?
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