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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第2章 本当の赤司征十郎



茫然として目の前のひとを見つめた


状況が理解できなくて、言葉が出てこない



ここは赤司征十郎…じゃなかった、赤司さんの屋敷


そして、桃井さんに「赤司さんが待ってるから」と連れてこられた、赤司さんの部屋のはず



…なぜこのひとがいるのだろう


もしかしたら、このひとも赤司さんの知り合いなのだろうか



目をぱちくりさせてそのひとがこの状況を何とかしてくれるのを待った


そんな私に気付いたのか、そのひとは私の顔をまじまじと見つめた後、やっと口を開いてくれた




「……まさか、もう俺のこと忘れたのかい?」


「えっ…」




少しだけ眉間に皺を寄せた彼

私は慌てて否定した



「いいえ、覚えています」


「そうか」


「あ…あの時は本当に助かりました、
ありがとうございます」



ハッとして、改めて頭を下げる

いけない、ずっと言おうと思っていたのに
すっかり頭から飛んでいた



「あれに懲りたらもう夜の森に1人で入るのは止めるんだよ」


「はい、肝に銘じておきます」


「あぁ」


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「…………あの…」


「何だ?」


「…あなたは、こんな所で何をなさっているんですか?」


「…?」




沈黙を破って素直に聞いてみる


そしたら、そのひとはキョトンとした後
ものすごく怪訝な顔をした


……何故そんな表情をする



「…君は、鈍いんだな」


「え?」


「ここは、俺の屋敷だよ」


「え…でもここは、赤司さんの屋敷…」


「あぁ、だから俺の屋敷だ」


「……?」




赤司さんの屋敷だからこのひとの屋敷


意味がわからなかったけれど、
それはほんの一瞬で



すぐに彼の言っている意味がわかった



赤司さんの屋敷はこのひとの屋敷


つまりそれって、




「…あなたが…、赤司さん…?」


「あぁ、俺が吸血鬼の赤司だよ」






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