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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第1章 吸血鬼、赤司征十郎




「それにね、赤司君は鳥と遊ぶのが好きなんだよ」


「え」


「これも意外だよね
私も初めて聞いた時びっくりしたよ」


「鳥って…鳥ですか?」


「そう、パタパタ飛ぶあの鳥だよ」


「…そうなんですか…」


「赤司君ね、動物が好きみたいなんだよね

この前はハリネズミに餌あげてたし」


「…餌を…」


「ここに迷い込んできた猫を保護したり、
他の怪物に襲われてた子犬を助けたり


あとは…、そうそう、怪我した狐の子供を手当てしてあげたりとか」


「…本当に?」


「ほんとほんと、赤司君結構面倒みいいから」





それからも色々と信じがたい話を聞かされた


信じられなかったけれど、
嘘には聞こえないから不思議だ



気が付くと、ガチガチに身構えていた私はすっかりリラックスしてしまっていた




「…よし、着いた」


「…ここ…」




桃井さんは二階の突き当たりにある部屋の前で立ち止まった



……どうやら、ご対面の時が来たようだ



「…じゃ、最後に一つ言わせて」


「は…はい」



体ごと私を向いた桃井さんに、
私も体ごと桃井さんを向いた




「…私が言うのも変なんだけどね


……来てくれて、ありがとう」


「…え…?」


「きっと、みんながそう思ってるよ。

…あ、それから赤司征十郎って呼び方は止めた方がいいよ、怒るから」



「…あ………はい…」


「じゃあね」


ふわり、と笑った桃井さんは踵を返して来た廊下を戻っていった



その後ろ姿を見送って、私は改めてドアを見た




なんだろう


今までの話で、すっかり私の中の赤司征十郎…じゃない赤司さんの印象は変わってしまっていたけれど



…やっぱり怖い


呼ばれた理由がわからないし
第一、本来ここに来るはずだったのは姉だ

私じゃない



…もし私じゃ駄目だったらどうなるんだろうか


ぶんぶんと首を振って弱い思考を掻き消した


だめ

弱音なんて吐くな




『来てくれてありがとう』





桃井さんの笑顔を、無駄にしたくない


ここまで送ってくれた火神さんや黄瀬さんの厚意を無駄にしたくない




「――――……」





私は深呼吸をしてから、
ドアをノックした






コンコン






中からの返事はなかった


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