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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第1章 吸血鬼、赤司征十郎



「あの」


「ん?」


「赤司征十郎て、どんなひ…じゃない、吸血鬼なんですか?」


「え…」


「私、村で沢山赤司征十郎の噂を聞きました

でも…ここに来るまでに火神さんや黄瀬さんが話して下さった赤司征十郎の話と、全く違うんです」


「……………」


「ですから、どちらが本当の赤司征十郎なのか…」


「…名前さん」




それまで一定のテンポで歩いていた桃井さんは急に立ち止まった


私もつられて立ち止まる




「それは、自分で確かめなきゃ」


「え…」


「実際に赤司君に接して、
名前さん本人に確かめて欲しいな」


「…………」


「大丈夫だよ、赤司君は優しいから」


「優しい?」


「うん」


「…………」


「信じられない?」


「…信じられないというか、なんというか」


「そりゃそうだよね
10年間ずっと悪い印象しかなかったのに、
いきなり優しい奴だよ、なんて言われてもねぇ」


「…すみません」


「謝ることじゃないよ

…でもね、名前さん」




顔を上げると、今までで一番優しい笑顔の桃井さんと目が合った




「本当の赤司君を見てあげてね」


「…本当の?」


「そう、本当の」


「…………」


「赤司君の好きな食べ物、知ってる?」


「…ひとの血、ですか?」


「ううん、ハズレ

血は飲むけど、好きじゃないんだって」


「えっ」


「意外でしょ、吸血鬼なのに血が好きじゃないなんて」


「…はい」




吸血鬼が血を好きじゃないなんて
いいのか、そんなんで




「正解はね、湯豆腐だよ。あとちなみに嫌いなものはわかめだって」


「ゆ、湯豆腐…?」


「そ、私たちが初めてこの屋敷に来た時、ペラペラ自己紹介しだしてね
その時に言ってた」


「…赤司征十郎が?」


「そ、赤司征十郎が」


「…信じられません」


「でも、ちょっとは赤司君のイメージ変わったでしょ?」


「ええ、大分」




湯豆腐が好きで嫌いなものがわかめで血は好きじゃない


傍から聞いたらまるで吸血鬼とは思えない


…なんなんだろう、赤司征十郎て

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