第1章 吸血鬼、赤司征十郎
「…ねぇ名前?」
「は…はい…」
いつになく優しい声
にっこりとした笑顔の裏に、真っ黒な思惑が見えた
……まさか、
「あなた、代わりに行ってきてちょうだい」
「えっ…」
「考えてみれば、あなただってここに住んでいるんだもの
令嬢とまではいかないけど…
この家の娘であることに間違いはないわ」
「そ…そうよ名前!あんたが行きなさいよ!」
「そ、そんな…!」
「私たちもそろそろ新しいメイドを雇おうと思っていた所なの
あなたはもう必要ないから、ちょうどいいわ」
「!」
「ふふ、厄介払いが出来て清々するわ」
「あんな怪物もたまには役に立つのね」
「じゃあ名前、精々命乞いでもして、今度は赤司家の屋敷で雇ってもらうといいわ」
「ていうか、あんたなんか赤司征十郎の餌にでもなっちゃえばいいのよ!
潔く吸い殺されちゃえば?」
あはは、と不敵に笑う母と姉に、
私は何も言えなかった