第5章 最終章
じんわりと甘い痺れが体内を駆け巡る
枕が血に染まるのも忘れて、私はただひたすら赤司さんにしがみついていた
心無しか赤司さんの身体も熱い
お互い素肌のまま抱き合っているからか、
今感じている鼓動がどちらのものなのかすらわからない
けれど、心臓さえも赤司さんと一つになっているような心地がして嬉しくなった
「…んんっ!」
時折、赤司さんが吸う力を強めてくる
きつく吸い上げられて、
その度に身体がビクンと反応した
辺りに広がっていく血の匂いのせいなのか貧血のせいなのか、はたまた幸せに酔っているせいなのか
とにかく頭がぐらぐらしてきたところで
赤司さんは牙を抜いた
最後の一滴も惜しむように丁寧に傷跡を舐められる
顔を上げた赤司さんの口元は私の血で赤くなっていた
なぜだか、その姿が異様に色っぽい
直視できなくて顔を背けたら顎を掴まれて向き直された
「…名前……、」
「あ…、」
普段は冷静沈着な瞳が私の目と鼻の先で熱っぽく潤んでいる
今度は目をそらせなくて見つめ合った
ゆっくりと頬を撫でられて、ただでさえ至近距離の赤司さんの顔が段々近付いてくる
どうしたらいいかわからなくて、
でも決して嫌ではなくて
無意識の内に瞳を閉じると、
くちびるを柔らかく食まれた
そのまま啄むように赤司さんのくちびるが触れては離れ、離れては触れる
まるで、「愛している」と言われているような優しい行為
胸の中に何ともいえないような感情が込み上げてきた