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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第5章 最終章



ふわり、赤司さんの匂いに包まれて
温かい腕がガッチリと私を捕まえた

素肌同士が擦り合ってものすごくくすぐったい

背中に回った腕とは別に、もう片方は私の頭を抱え込んでいる


…あったかい




「……名前、」


「…はい」


「声、枯れてるな」


「あ…」




そうだ、忘れてた

なんとか音として発せられてはいるものの
その声はカスカスした感じだ


掠れた声に、赤司さんはゆっくりと私の喉元に触れた



「後でテツヤに水でも持ってこさせようか」


「…ありがとうございます…」


さわさわと首筋を滑る赤司さんの指先は、ある一点でピタリと止まった


「(?……あ、)」


赤司さんの指先が触れているところには、小さな穴が2つ


そういえば昨夜、途中で血を吸われたことを思い出す

血を、吸われ………


「……………」


赤司さんの腕の中で、恐る恐る、そーっと枕を見た

真っ白だったはずの枕には赤い斑点がぽつぽつと歪な模様を描いている


ゆっくり、今度は自分たちの下にあるシーツに目をやると、やはりそこもスプラッタになっていた


「あ、あのっ」


「?」


「すみません、シーツが」


「シーツ?」


赤司さんは私の首筋に触れたまま目だけをシーツと、それから枕に向けた


ああ、と納得したように言ってから、今度は触れていただけの私の首筋に顔を埋めてきた


赤司さんのツンツンした髪が頬を擽る


擦り寄ってくる様が本当に猫みたいだ



「別に君が謝ることじゃない」


「で…ですが…」


「吸ったのは俺だろう」


彼が言うのと同時に、牙の跡を生温かいものが撫でる

思わず肩が跳ねた


ちょ、なに…


「赤司、さん」


「ん?」



ペロペロと首筋を舐めてくる赤司さん
本当に猫みたい


「…喉、渇きましたか?」


くすぐったさを必死に我慢しながら
なんとか聞いてみる


もう数ヶ月くらい一緒にいるからわかる


赤司さんが私の首筋を触ったり舐めたりしてくるのは、喉が渇いている証拠

その本能が、私の血を欲している証

赤司さんはしばらく黙り込んだ後
首筋から離れないまま頷いた


こくり、と小さく首を振る動作がなんとも可愛らしい

笑ってしまいそうになるのを堪えながら、
私はゆっくり彼の髪に手を差し入れた
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