第5章 最終章
「!?」
「おはよう」
「……お、おはよう…ござい…ま…、す」
あまりに綺麗な笑顔に口が動かない
というか、今、キス…!
赤司さんは案の定、真っ赤な私を見て可笑しそうに、でも優しく笑った
「真っ赤だな」
「……っ」
「別に初めてでもないだろう」
「そ、れは」
確かに
確かに初めてではない、このパターン
いやいや、でも、だからって
照れない方がおかしくないか
むしろこんな状況で「慣れてるから」なんて理由で平然としてられるなんて女としていかがなものか
「それで、大丈夫か?」
「へ、」
「身体、つらくないか?」
「あ……、」
さっきも聞かれた言葉の意味がようやく理解できた
なるほど
大丈夫?って身体のことか
今まで朝起きたら必ず毎回聞かれていることなのに、忘れていた
混乱って、本当に冷静な判断力を失わせると思う
ていうか、身体って
…からだって…
「…また赤くなったな」
「!」
「何想像してるんだ?」
「い、いいえ…別に」
「…昨夜のこと、思い出してたとか?」
「な…っ、」
「図星か」
くすり、と笑った赤司さんはもう一度私の額にキスをしてから、するすると腰を撫でてきた
しなやかな手のひらに直に素肌を撫でられて、頭がくらくらする
「…痛いか?」
「…いいえ、大丈夫です」
最初の頃はそれはそれは痛かったけれど、
いつまで経っても慣れてくれないのは
どうやら心だけのようだ
赤くなりながら小さな声で言うと、
赤司さんが安心したように笑った
「名前」
「はい」
「抱き締めてもいいか?」
「え…、」
随分とダイレクトな要求
いきなりすぎて戸惑っていると、そうしている間にも赤司さんの腕は私の方へと伸びてくる
そして、背中に温かい腕を感じた瞬間に
「時間切れ」
悪戯っぽく笑った赤司さんは、
私の身体を抱き寄せた