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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第4章 恨み憎む男ー灰崎ー


俺にとって実に10年越しに繋いだ手は思った通り柔らかくて、優しくて


何よりも俺を幸せな気持ちにした




「…ずっと、こうしたかった」





指を絡めたまま、片腕で再び彼女を抱き締める


ぎゅっと繋がった手に力を籠めると
名前も強く握り返してきた



「…私も、ずっとこうしたかったです」


「……あぁ」


「温かい……」



名前はやっと繋がった2人の手を見て
また涙を流した


俺はその瞼に口付けて、小さな頭に頬を寄せた



「…赤司さん」


「?」


「……ずっと、言えなかったけれど」


「あぁ」


「…私、あなたが好きです」



震える声で告げた名前


……答えなんて、10年前に決まっていたさ





「…俺も好きだ、愛してる」


「……っ、」


「お前、本当に泣き虫だな」


「…っ、これは嬉し涙ですからいいんです」


「何だそれは、」



思わず笑ってしまうと、名前も一緒になって笑った



それは10年前に俺が初めて恋をした少女と同じ笑顔で




「…赤司さん」


「何だ?」


「…愛しています」




そう言って擦り寄ってくる柔らかさも、
髪から仄かに漂う花の匂いも


何もかもが10年前と変わらなくて







俺は、10年分の想いを伝えるかのように
君の唇に自分のそれを重ねた


















(ねぇ、童話のお姫様)
(私には、カボチャの馬車も綺麗なドレスもガラスの靴もないけれど)



(それでも、あなたに負けないくらいに幸せです)










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