第4章 恨み憎む男ー灰崎ー
そして10年もの時が経って運命の時がきた
あの日、名前がこの森に入ってきたのだ
案の定他の怪物に追い掛けられた名前を
俺はとっさに助けに行った
そしてその時、もう二度と逢うはずのなかった俺たちは再び出逢ってしまった
彼女は完全に俺のことを忘れていた
やはり少しショックだったが、それでも10年振りに彼女を間近で見た俺はこの上なく幸せだった
でも、久しぶりすぎて
おまけに名前は俺を憶えていなくて
笑わなくなった以外は何も変わらない彼女に安心したが、どう声を掛けたらいいのかわからなくて
結局そのまま帰ってしまった
そして俺はその夜、いつにも増して彼女のことを考えた