第3章 笑顔のおまじない
私が次の日に職場にやって来ると、ドタキャンしたアイツがヘラヘラしながら近づいて来た。
私は自分のロッカーを閉めながら、彼に挨拶をした
「おはようございます...」
私のこの態度に彼は何かを悟ったのか
「昨日は、ほんまにごめんな、この埋め合わせは必ずするから」
手のひらを合わせて謝る彼を、私は冷静に見てた
私はこの人の何が好きだったんだろ?
私のこの人の思いは、昨日のカラオケボックスで落ちたかのように冷静になっていたのでした
「....いえ、もういいので..」
立ち去ろうとする私に、彼は腕を掴んできた
「なぁ、ほんまに、ごめんて」
悲しそうな目で見てくる彼に、嫌気がしてきた...
本当に情けない男、好きでもない女を振れないし
次から次と女で遊んでるし
「....悪いけど、私 朝一に予約のお客様がいるので」
そう彼に告げると、彼の元から去って行きながら
ポケットの宝物をそっと触った
<<笑顔のおまじないパーーーン>>
私は、この言葉を小さく呟き、お客の待つ店に向かいました。
「お待たせ致しました、今日はどの用にさせて頂きましょうか?」
私は、笑顔で予約の少女に声をかけた
少女は、モジモジしながら言葉を言えずにいた
私はフッと丸山さんを思い出した
きっと昨日の私はこんな風だったんだろなぁって
「今日は本当に天気がいいですよね...」
私は、店から見える空を見ながら言った
すると少女は少し驚いた顔をして、空を見た
「....ほ、本当に」
空を見て落ち着いたのか、笑顔で言ってくれた
私はニコッと笑って続けた
「さて、こんな天気の良い日には、どの用な
ヘアースタイルにしましょうか?」
すると、少女は恥ずかしそうに私に言った
「今日、初デートなんです...、可愛くしてもらえますか?」
私はその言葉を聞いて、彼女の勇気に微笑んだ
「分かりました、とびっきり可愛くなって会いに行きましょうね」
私の言葉に彼女は嬉しそうに微笑んだ