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片道恋慕

第1章 片道恋慕


「おぉー!和佳奈ちゃんありがとう!」
予想外に綺麗なラッピングに驚いたのか、恭輔君はまんざらでもない様子。
「すごいなー、手作り?」
「うん!ひとりでつくったんだよ!」
それはさすがに嘘よ、と笑いそうになったけれど、恭輔君がこちらをチラ見したので「和佳奈、頑張ったのよ。」と頷いておいた。
「たべて!たべて!」
和佳奈に急かされて、少し困惑顔の恭輔君。
「飯の前にチョコってどうなの?」
「恭輔、女の子がここまでしてくれてるのよ!?食べてあげなきゃダメよ!」
笹野さんに本気の説教をされて、恭輔君は分かったよと包みを開ける。
「おっ、ケーキ?タルト?よく分かんねーけどうまそう。」
ハート型のチョコタルトが、ピンクのチョコペンで描かれた少し歪なハートとともにお目見え。
「たべて!たべて!」
恭輔君の背中にひっついて、早く早くと急かす和佳奈。それじゃかえって食べにくいわよ、と思わず笑いが漏れた。
「では、いただきまーす。」
大口開けて、恭輔君は男らしくタルトを口に放り込んだ。

「どう?どう?おいしい?」
和佳奈がワクワクした顔で恭輔君の背中に擦り付く。
恭輔君の喉仏が動いて、チョコが彼の中に収められる。
「うん、うまい!すごいなー上手にできてるよ。」
「・・・やったー!!!」
和佳奈はいつもより余計に喜びのダンス。みんなの笑い声が上がった。
「おにいちゃんだいすきー!」
勢いのまま抱きつき、というよりタックルを決めて、恭輔君はある意味ノックアウトされた。
「お、おぉ、ありがとうな。あいててて・・・。」
和佳奈は溶けるような顔で、倒れた恭輔君に何度も何度も顔を埋めていた。
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