第2章 屋敷
俺はまた、一人部屋を抜け出して
月明かりに照らされている、
潰れかけの屋敷を見ていた。
俺の中で疑問が生まれていたからだ。
俺らの住み処を、人間を操って作らせる...
何故か俺の心に引っ掛かものがあったのだ
また俺の足下で、
あの猫が身体をすり寄せてきた。
村上「ふはっ、またお前か」
俺は嬉しくなり、猫を抱き上げた。
猫は俺の顔を見て鳴き声をあげた。
村上「お前は変な猫やなぁ?
俺が辛いって思ってる時に必ず来るな...」
猫の顔をじっと見ると、
猫は俺の顔をざらついた舌で舐めた
村上「うわぁ、くすぐったいわ」
俺は笑ったが、猫は俺の顔をじっと見る
村上「なんや、元気出せと言っとるんか?」
俺はまた、屋敷を見た。
村上「なぁ、力を使ってええんやろか?」
俺は何を迷ってるんだろうか?
自分達に出来ないから、
人間にしてもらう事を何を躊躇ってるんだろ?
そんな俺を猫はじっと見つめていた。
村上「俺、記憶はないんやけど、この屋敷に愛着あんねんなぁ....だから、俺の手で直したかったんやけどな...」
猫は優しく鳴いた。
俺の気持ちに賛同するように
村上「お前って、ほんまに賢いなぁ...」
俺が優しく頭を撫でると、
猫は気持ち良さそうに目を閉じる
村上「なぁ、俺って吸血鬼に向いてないかなぁ?」
俺は、正直辛かった。
人の血を啜って生きてる事が...
仲間もいるが、死ねない身体に...
気が狂いそうな永遠を紡いでいかなければない...
人は死ねるから、一瞬を一瞬を一生懸命に生きる。
なら、永遠の俺たちは?
俺には分からなかった、ずっと...
この屋敷は俺と一緒なのかも知れない
そう、壊れているんだ.....
そんな俺を、猫は離れずに見つめていた。