第13章 月
俺が屋敷の外に出ると、
出来上がった屋敷を見つめてる女が
一人で立っているのが、目に入った。
女は、屋敷を嬉しそうに見つめながら、
涙を流していた。
その流す涙を拭かずに、
思い出に浸るように見つめ続けていた
俺は何も言わずに、後ろから女を強く抱きしめた
女は俺に気が付くと、
俺の抱きしめてる腕を両手で掴み泣き続けた
月の光が優しく俺たちと屋敷を包む
「......し、信五、私ね...」
女は言葉にならない声で、俺に話し掛けた
村上「....俺は、お前を愛してる、もし側におれんでも、何であっても....」
その俺の言葉に、女の足がガクガクと震え力をなくした
俺は後ろから、必死で支えた
「....嬉し..私ね、信五がこの屋敷に亮ちゃんが連れて来た時から見てた」
俺は後ろから、抱きしめ続けながら聞いていた
「....信五はいつもニコニコして我慢してた。
小さい頃から、お兄ちゃんだからそれを当たり前のように...」
彼女の身体がどんどん冷たくなってきているのを知り、俺の抱きしめる腕の強さが増す。
それを彼女は嬉しそうに微笑んだ
「....でも、時々一人になると愚痴ってて、、
吸血鬼になっても...、心配だったんだ、ずっと...」
女は、抱きしめてる俺の腕を、弱い力でほどき
俺の前に立った
俺の目からは涙が溢れていた
村上「.....ずっと見守ってくれてたんやな」
女は優しく微笑み
「...私は、ある吸血鬼さんの血を飲んだから、
少し長生きしちゃった...
でも、もうお迎えの時間なんだ...」
俺はまた、女を抱きしめた、時が止まる事を願いながら
「....私、自分の死期を知ってたけど、
信五が本当に心配で死ねなかった...
だからね、神様がお願いしてた事を特別に叶えてくれた....みたい...」
女の息がどんどん荒くなる
村上「願い...?」
神は俺の願いは聞いてはくれないのか、、
あと少しあと少しだけ時間を俺にくれ、という、、