第19章 今日からあなたの彼氏です
【黄瀬 涼太】
「生徒会長さーん」
黄瀬くんは最近私をそう呼ぶ。
事実だから否定はしないけど。
「何?」
「好きっス。俺と付き合って欲しいっス」
いきなり来たと思ったら…
「何、言ってるの?」
「告白っス」
「それは分かるけど…」
「返事は?」
もうですか!!
黄瀬くんが机に手を置き身を乗り出すように聞いてくる。
そんなの決まってるけど…
「夏姫?」
「見ないで…」
私はファイルで顔を隠した。
今すごく恥ずかしい…
黄瀬くんのせいで。
「ねぇねぇ、夏姫は俺の事好きっスか?」
黄瀬くんはファイルを奪いながら言った。
「取らないでよ…」
「嫌っス。ちゃんと言うまで返さないっス。俺の事好きじゃないんスか?」
「好きに決まってるでしょ!!」
「やっと言ったっスね…」
「あっ………」
言ってしまった。
とっさに私は机の下に隠れた。
「夏姫ー。隠れないで出ておいでー」
黄瀬くんは私を机の下から引きづりだした。
「ふふーん。好きっスよー夏姫」
そのまま後ろから抱きしめる。
「くすぐったいよ…」
耳元でささやくと私の手は黄瀬くんの手に触れた。
「黄瀬くん…」
「何っスか?」
「好き…」
2人しか居ない生徒会室で私たちはただ抱きしめ合っていた。