第55章 雪が降ったら
【青峰】
「うっす……」
「青峰くん!ちゃんと時間守ってよ!」
体育館に来るなりさつきがうるさい。
「うるせーよ、さつき。アイツは?」
「夏姫ちゃん?夏姫ちゃんは………あ、あそこ!」
さつきの指す方には夏姫の姿。
上から何枚も羽織り、マフラーを何重にもグルグルに巻き体育座りでブルブルと震えていた。
その姿はまさに
「雪だるまかよ…」
「へ?……あ、青峰くん」
でも気に入らない事がある。
「夏姫」
「何?」
「誰の使ってんだよ…」
「あ……コレの事」
夏姫の羽織る上着や、マフラーは自分のだけではない。
明らかに男モノだとわかるのが何枚もあった。
「ワシのやろ~、諏佐に若松、桜井に…」
「私のもありますね」
眼鏡だけじゃなく監督までアイツに貸したのかよ…
「おい!脱げ…」
「やだ…って!ちょっ………取らないで!寒い!」
オレは夏姫からアイツらのモノを全て脱がせた。
「寒い」
「暖房ついてんだろーが」
「足りないの」
ったく……しょーがねーヤツだ。
「ほらよ…これでも着てろ」
オレは着ていたジャージを夏姫に放った。
「それで我慢しろ」
「青峰くんの暖かいね…」
「それでも寒いんならベッドの上であっためてやろーか?」
「お断りします」
「即答かよ」
まあ、そう言いながら練習終わったらヤる予定だけどよ。