第55章 雪が降ったら
【黄瀬】
「寒いっス~」
早くバスケやって温まりたいっスね~
「寒い……」
「夏姫!?」
オレとは裏腹に夏姫はご機嫌ナナメ。
それもそう。
今日は雪が降っているから。
「スカートもうヤダ」
「あと少しの辛抱っス」
「ぷぅ………涼太くんのバカ!」
「いてっ!!」
怒った夏姫が投げたのは小さな雪玉。
「自分だけあったかそうな格好して!」
「ちょっ……冷たいっス!」
「バカバカバカ!大バカ!」
「バカバカ言いすぎ!オレそんなにバカじゃ…」
「いつも赤点ギリギリのクセに~!もう、今度のテストは知らないんだから!」
「あ~っ!それは困るっス!赤点なんて取ったら」
試合どころじゃないっスよ!
「何でもするから……ね?」
「じゃあ、今すぐこの雪を消して」
「無理っス……違うので」
「じゃあ…あっためて」
オレの前に立った夏姫は両腕を伸ばした。
「はいはい…了解しました。お姫様」
ギュッと抱きしめれば冷たい身体はすぐに暖かくなる。
「涼太くん暖かいね…」
「夏姫は冷たいんスよ」
「身体は冷たくも心はアツアツだからね?」
「知ってる…」
「じゃあ、早く学校まで連れて行ってね」
「えぇ!?この格好で?歩くっスよ!」
「仕方ない……おんぶで我慢するから」
「そういう問題じゃ…」
「遅刻しちゃうよ~」
「今日部活だけだから…」
「早く~!」
「はいはい了解っス」
こうなったら後でご褒美貰わないとね。
沢山…たくさ~ん……ね、夏姫。