第54章 幸せタイム【笠松幸男】
【笠松】
今回も無事に北海道に着いた。
「お疲れ様でした」
機長に挨拶を済ませ携帯をチェックすると今までに無いくらいの着信の数々。
お袋、親父、義母さん、黄瀬に森山に小堀…
とりあえず一番着信履歴が古い黄瀬に掛けようとすると
「か、笠松先輩っ!」
「黄瀬!?」
北海道に居るはずの無い黄瀬が息を切らしながらオレの方へ走ってきた。
「っ……ぱい……戻るっス」
ゼイゼイと、息を切らしているせいで聞き取れない。
「うま……産まれるっスよ!赤ちゃん…!」
黄瀬によると陣痛が始まったと連絡があり黄瀬は連絡の付かないオレを追いかけて来たと。
「行ってください、先輩。後はオレが引き継ぐっス」
「お前、どうやって…」
「赤司っち…赤司っちに連絡したらプライベートジェット出してくれたっス」
黄瀬に背中を押されながら進めばそこには
「こんにちは、笠松さん。話は黄瀬から聞いてます。早く行きましょう」
「赤司っち!後はよろしくっス~!」
「おいっ!黄瀬」
「準備が出来次第発進しろ」
「「はい」」
さすが赤司。
あっという間に着き病院まで車まで用意され混乱しながらも病院に着いた。
そして
分娩室から無事に小さな命と共に大きな鳴き声が響き渡った。
「夏姫…お疲れ様。そしてありがとう」
「今日からよろしくね。パパ」