第6章 ラノベのような【黛千尋】
「黛くん…試合がんばってね」
そして今、あの時の図書委員の女はオレの彼女になっていた。
名前も知らなかったあの日以来、よく会うようになった。
桜庭夏姫
名前を知ったのはそれからもっと後の事。
隣のクラスだという事。
そして、大量のラノベを毎回入荷していた張本人。
全部オレの為だと……そのために本屋でバイトしている事。
『何でそこまでするんだよ。アンタ』
そう聞いたら
『好きだから…………ま、黛くん…が』
オレがラノベが好きだからと思っていたが、違った。
オレが好きだからだった。
気づいた時にはもう冬が迫っていた。
「当たり前だ。アイツらがいるんだ。負けるはずがない」
「うん」
変なヤツらだが、試合では、オレ以上に活躍し頼りになる。
これも後少しだと思うと………
まあ、良いも悪いも仕方ない事だ。
だが感謝はしているさ。
アイツらには
特に主将の赤司には。