第42章 どっちが好き?【紫原敦&赤司征十郎】
【紫原】
「これおいし~夏姫ちんも食べる?」
「………」
「夏姫ちん?」
「え?何……むっくん」
「これ食べる?」
「私は大丈夫、むっくんが食べて」
「そう?やった~」
夏姫ちん何か変。
いつもはお菓子あげると食べるのに。
「敦、お菓子ばかり食べるな」
「赤ちん大丈夫だよ」
成長期だからね~
でも、部活引退したからお菓子の量増えたかも。
「じゃあ、僕はここで」
「じゃあね~赤ちん」
用事があるといって赤ちんは途中で別れた。
「そういえば夏姫ちんと2人で帰るの久しぶりだね~」
どれくらい振りだろ?
ん~わかんないや。
でもさっきから夏姫ちん静かだな…
「ねえ、むっくん。むっくんは陽泉に行っちゃうの?」
「うん、そうだよ~。赤ちんは洛山だよね~」
夏姫ちんはドコにするんだろ…
「私ね、征くんに洛山に来ないかって誘われたの」
「へ~そうなんだ」
夏姫ちん洛山行くんだ
「遠いよね~秋田と京都」
「それだけ?むっくん」
「でも夏姫ちんなら受かるよ」
「…………」
「夏姫ちん?どうしたの」
「……カ…むっくんのバカ~!!」
突然夏姫ちんは涙を浮かばせながら走って行ってしまった。
「………夏姫ちん」
この時のオレは何もわかっていなかった。
夏姫ちんの泣いた理由を。