第38章 彼氏が風邪を引きました【誠凛編】
火神大我
━━━━━━━━━━━━
目を開けるとボールの音が聞こえた。
頭はひんやりとし、視界には彼女の姿も。
「火神くん…大丈夫?」
「大丈夫………じゃねえ」
ズキズキと頭が痛い。
「火神くん、熱があるんだよ」
やっぱりか…通りで朝から頭痛が。
「火神くん、今日は帰りなさい」
カントクはそれだけ伝えると練習に戻る。
「まだ出来る…」
「ダメ!!今日は帰って寝るの!!」
夏姫は俺の手を引き体育館から出ていく。
体格の違う俺を支える夏姫。
力を抜けば押し倒されるのは夏姫なのに、頑張って俺を支えながら家まで送った。
着替えを出した後はキッチンでお粥を作り持ってきてくれた。
「はい、火神くん」
「じ、自分で食える」
日本に帰ってきて風邪なんて引いたことなかった。
こうして誰かに看病されるのもいつ振りかわからない。
隣で支える夏姫は大きな存在…
バスケだけで過ごしてきたけど、たまには風邪でもひいて、甘えたっていいよな。