第37章 彼氏がモデルを辞めるそうです【黄瀬涼太】
「ん…………」
頭がズキズキとする。
ぼやけた視界に黄色い何が映っていた。
黄瀬くんだと分かるのに時間は掛からなかった。
「黄瀬くん…」
「夏姫!!大丈夫っスか!?」
ベットから起き上がると黄瀬くんは後ろを支えてくれた。
「私…」
「ボールが当たって倒れたんスよ…無事で良かった…」
黄瀬くんの声は弱々しく聞こえた。
「夏姫…俺」
「黄瀬くん…モデル辞めないで」
「え?」
「私、モデルやってる黄瀬くんすごく好き」
モデルやってる黄瀬くんは私の自慢だもん。
「モデル…またやってみるっス。俺、モデルの仕事好きなんスよ…」
「本当?」
「夏姫…無理してないっスか?両立、大変なんスよね…」
「どうして…」
分かるの?
「辛いときや無理だと思ったら、俺を頼ってほしいっス」
その時、私の頬を濡らしたのは涙だった。
「黄瀬くん…」
私は黄瀬くんの胸に抱きついた。
黄瀬くんは私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれた。