第37章 彼氏がモデルを辞めるそうです【黄瀬涼太】
【黄瀬】
モデルを辞めると決めてから、事務所の人や同じ学校のファンの子は辞めるのを説得するばかりだった。
「夏姫…」
「黄瀬くん!!モデル辞めないで」
夏姫に声をかけるどころか、俺の隣に居るのがファンの子ばかりで姿を見ることすら出来ない。
体育の時間。
向こうでは夏姫たちが別々に授業を受けている。
今日の夏姫は少し様子がおかしい。
「黄瀬!!行ったぞ!!」
「あっ…」
飛んできたボールを受け止め返した。
「会長!!危ない!!」
「えっ?」
他の男子が蹴ったボールが夏姫に当たった。
夏姫!!
「夏姫!!夏姫!!」
俺はすぐに夏姫の元に駆けつけた。
しかし、反応は無かった。
血の気が引いたようだった。
「夏姫…」
俺は夏姫を抱き上げ保健室に向かった。