第26章 愛妻弁当【宮地清志】
「夏姫さ、なんでいつもたこさんウインナー作ってるんだ?」
「え?そんなの決まってるよ。可愛いから」
「そう…か」
普通でしょ?と言うように迷わず答えた。
「でも…思い出だからかな?」
「思い出?」
「そう。高校時代から清志にお弁当作ってきたでしょ?さすがに毎日は無理だったけど、練習試合で他校に行ったり、大きな試合だったり、そのたびに思い出があったら。たこさんウインナーみたら思い出すかな~って思っただけ」
卒業して何年も経つのに夏姫はそんな事思ってたのかよ…
さすがだわ…
『宮地!お疲れ様!』
『ドンマイ、宮地』
『宮地が一番カッコいいよ!!』
どんな時だって夏姫はオレを元気づけてくれる。
それはいまでも変わらない。
「サンキュ……夏姫」
「清志?」
ちゅっ
オレは夏姫を抱きしめ額に唇を重ねた。
「清志…今日はどうしたの?」
「なんでもねえ…」
言えるかよ…
ありがとなんて…恥ずかしくてよ。
「ふふっ…」
「何だよ?」
「別に?」