第21章 彼氏がお見合いをするそうです【赤司征十郎】
「私が分かるのは今のあなたの事だけ…赤司さんの彼女さんには分かりません」
「なぜ?」
「赤司さんが仰らないから…自分の気持ちだけで行動しては彼女さんには伝わらない事もあります」
まるで自分の事を話すように彼女はオレに話し続けた。
「私は連絡もとらず、自分勝手な行動で愛する人を失いかけました。それでも彼は私を待っていてくれました」
夏姫はどうなんだろうか…
オレを待っていてくれるのか?
「だから、赤司さんの彼女さんは大丈夫です」
彼女はオレに微笑んだ。
「お嬢様、そろそろ……」
「ええ。今行きますわ。では、ごきげんよう…」
彼女は付き添いの執事とオレの前から姿を消した。
彼女を待っていたのは執事の事なんだろう…
「夏姫…」
オレは夏姫を探しにホテルを出た。
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「はぁ……遅いな」
こういうときは、すぐに追いかけて来るものだと思っていた。
潰れたどら焼きを頬張りながら、赤司くんを待っていた。
「お見合いしてるのかな…」
フラれるのかな?
私…
「タイミング悪いな私…」
赤司くんが彼氏じゃなかったら、とうしてるんだろ?
幸せなのかな?