第21章 彼氏がお見合いをするそうです【赤司征十郎】
赤司くんは私が考える事や行動は教えなくても知っている。
でも、赤司くんの考える事や行動は、私にはわからない。
「赤司くんのバカぁ…」
ずっと握りしめていたどら焼きは潰れてしまった。
私が来たのは公園。
ベンチに座ると涙が止まらなかった。
「ひくっ…………ぅう………」
お店の制服の袖は涙で濡れてしまった。
だけど涙は止まらず流れている。
「赤司くん……」
赤司くんを呼んだら来てくれるのかな?
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【赤司】
夏姫はホテルのロビーに現れるや否や、数分後には涙を浮かべ走り去ってしまった。
「夏姫!!」
オレの声は夏姫には届かなかった。
「赤司さん」
夏姫を追いかけようとするオレを呼び止める声。
オレのお見合いの相手だった。
「今の彼女さんなんですね。とても可愛らしい御方…」
ああ。可愛いさ…君には分からないよ。
夏姫の事はオレが一番知っているから。
でも、今の夏姫の事はオレにはわからない…
「なら、私の話を聞かずに追いかけたらよろしいのでは?」
彼女は夏姫の心を読むように言った。
どうして、オレの事が分かる?
「簡単なことです。今のあなたはとても分かりやすいからです」
「オレが?」
「はい」