第2章 1時
そんなある日。
私の住んでいる島に警告音が鳴り響いた。
初めて聞いたその音は心の奥まで響きわたって、
なぜかワクワクしたんだ。
何が起きたかわからずただ、家の鍵を閉めて地下室へと避難する。
『ねぇ、ママ。どうしたの?』
先頭の8歳になる弟を連れた母親に問いかける。
私の後ろに80歳の祖母と父親があとを追う。
「海賊が来たんだ。
この街は海軍がいないから、自分たちの身は自分で守らなきゃならない。
だから、お前にも武術を教え込んだだろ」
振り向きもせずにいう母親が目の前の扉の鍵穴に鍵を差し込むと、把手が現れた。
その扉の中に入り鍵を厳重にかけると、さっきの把手が内側に現れる。
もし、何かが起きて避難する場合のために、
相手が追って来れないようにするための仕組みになっていた。
部屋は広く、生活に必要なものは揃っていた。
外の状態もモニターで確認できるようにもなっていたし、
いくつかの場所へと通じる経路が四方の扉の奥にあった。