第2章 1時
「おっさん、んぢゃあ、
こいつ、もらうなっ」
ニシシっと笑い、
私の顔をのぞき込む。
『えっ?もらう?』
未だに理解できない私を尻目に、
ママが嬉しそうに、
目に涙を浮かべる。
「しん、体には充分気をつけて」
『ママ?』
「しん。
たくさん笑いなさい。
たくさん泣きなさい。
たくさん怒って、
多くのことを学びなさい」
『パパ?』
ゆっくりと抱きしめられた、
パパの肩が、
声が密かに揺れていた。
『…私、行くなんて言ってない』
私以外の間で行われたやり取りなど知らない。
行きたいとも。
……思わ、ない。