第10章 *胸の時間*
宇佐見side
こんのクソタコめ!
ちょこまかちょこまかと!
殺せんせーはサッカーを、私達は暗殺をしている
弾は当たんないし、ナイフは刺さらない
「殺せんせー!」
一つの甘い声で、サッカーも暗殺も一時中断だ
「烏間先生から聞きましたわ、すっごく足がお速いんですって?」
明らか、♡を飛ばし、ボディタッチをくり返す新しい先生
「いやぁ、それほどでもないですねぇ」
「お願いがあるの、一度本場のベトナムコーヒーを飲んでみたくて、私が英語を教えてる間に買ってきてくださらない?」
上目遣いのお願いのポーズで殺せんせーに頼む
「お安いご用です、ベトナムに良い店を知ってますから」
殺せんせーは、顔を赤くして
ドシュッ
飛び立った
「……」
「…で、えーとイリーナ…先生?授業始まるし、教室戻ります?」
「授業?…あぁ、各自適当に自習でもしてなさい」
シボッ
ライターでタバコに火をつける
「それと、ファーストネームで気安く呼ぶのやめてくれる?あのタコの前以外では、先生を演じるつもりも無いし、「イェラビッチお姉様」と呼びなさい」
「…………」
イェラビッチ…
いいあだ名ないかなぁ
イェラーちゃん
ビッちゃん
ビッチ…
あぁ!
「…で、どーすんの?「ビッチねえさん」」
「あんたら2人!略すな!!」
二人?
「やっぱカルマも思った⁉︎イェラビッチ姉さんって長いもんねぇ」
「宇佐見も?ビッチねえさんのが呼びやすいよね」
「ちょっと!そこで意気投合するな!」
「てかさ、ビッチねえさん殺し屋なんでしょ??私達総がかりで殺せないあのタコをあんた1人で、殺れんの?」
私が、少し挑発すると
「…ガキが、大人にはね、大人の殺り方があるのよ」
ザッ
「大人の殺り方?」
疑問が思わず口に出てしまった
「潮田 渚ってあんたよね?」
「?」
渚は、なぜ自分の名前を呼ばれたのか、気づいていない
次の瞬間