第4章 *野球の時間*
宇佐見side
「なんじゃあれ!」
顔をあげるとそこには10数本の触手が杉野の体の関節、筋肉にからみついている
ちょっと痛そう…
私はすかさず
「なっ、何してんのさ殺せんせー!生徒に危害を加えないっていう契約じゃなかったの⁉︎」
「おやおや、桃果さん、勘違いしないでください」
「へっ…?」
「杉野君、今朝見せたクセのある投球フォーム、メジャーに行った有田投手をマネていますね」
「……⁉︎」
杉野は図星だったんだろう、心底驚いている
「でもね、触手は正直です、彼と比べて君の肩の筋肉の配列が悪い、マネをしても彼のような豪速球は投げられませんねぇ」
杉野を降ろし、そう言い切る先生
「な、なんで先生にそんな断言できるのさ!」
先生は一枚の新聞をとりだした
パサッ
「先ほど、本人に確かめて来ましたから」
記事を見るとおそらく、投球する場所であるところから殺せんせーと同じ黄色の触手が伸びて、有田選手の体に絡みついている
マジかよw
たしかに、確かめたんなら仕方ないw
「……」
泣きながらもうひとつ持っているのは色紙だ
汚い字で書いてあるのは
《ふざけんな触手‼︎!》
その状態でサイン頼んだんかいwそりゃ怒るわなw
「そっか、やっぱ才能が違うんだなぁ…「一方で」
杉野の言葉に被せるように答える殺せんせー
「肘や手首の柔らかさは君の方が素晴らしい、鍛えれば彼を大きく上回るでしょう」
私も彼も驚いて、言葉が出ない
「いじり比べた先生の触手に間違いはありません」
触手を伸ばしたり縮めたりしている
「才能の種類はひとつじゃない、君の才能に合った暗殺を探して下さい」
「肘や手首が…俺の方が…俺の…才能か…」
感動に浸っている杉野はおいといて
去って行く殺せんせーを追いかけた
課題も出さなきゃなんなかったし、何より…
「殺せんせー!まさか…杉野に助言するためにわざわざニューヨークに?」
「もちろん、先生ですから」
「フツーの先生はそこまでしないし、ましてや、これから地球を消滅させる先生がどうして…」
「……」
先生は何かを思い出しているようだ
「先生はね、桃果さん、ある人との約束を守るために君達の先生になりました、私は地球を滅ぼしますが、その前に君達の先生です」
パシュッ