第4章 *野球の時間*
宇佐見side
あ、いたいた
「すぎ…「磨いておきましたよ、杉野君」
殺せんせーだ
私はとっさに、木の影に隠れた
今日はよく木にお世話になるな
殺せんせーは、対先生弾を埋めこんだボールをハンカチで包んで杉野に渡した
ボールに気付いた杉野は、ボールを受け取った
先生…なんか食べてるし…なんだあれ
「…殺せんせー何食ってんの?」
私の心を読んだかのように彼はそう聞いた
「先ほど、ハワイで買っておいたヤシの実です、食べますか?」
「飲むだろフツー」
呆れた声で先生に言う
アホなのかあの先生
「今日の暗殺はいい球でしたね」
「よくゆーぜ、考えてりゃ俺の球速でマッハ20の先生に当たるはずねー」
「君は野球部に?」
「前はね」
「前は?」
なんで"前"なんだろ…
「部活禁止なんだ、この隔離校舎のE組じゃ」
へーなるへそ
「成績悪くてE組に落ちたんだから…とにかく勉強に集中しろってさ」
「それはまたずいぶんな差別ですねぇ」
ほんとねぇ
私は転入したばっかで入ってないけど
「…でももういいんだ、今朝見たろ?遅いんだよ俺の球」
ボールを上に投げながら言う杉野
「遅いからバカスカ打たれてレギュラー降ろされて、それから勉強にもやる気無くして、今じゃエンドのE組さ」
そんな皮肉になんなくてもいいのに
「杉野君、先生からアドバイスをあげましょう」
あっ…そーいやー先生に課題出してなかったなぁ…
私はカバンの中に入っているノートを取り出した
よし
その間6秒
先生に課題を渡そうと前を見た瞬間
異様な光景がそこにはあった