第4章 *野球の時間*
宇佐見side
「さ、HRの時間ですよ」
「…はい」
杉野は目に見えて落ち込んでる
私達に与えられた任務は…来年までにこの先生を殺すこと、成功報酬は百億円!
「ね、渚、杉野今朝暗殺失敗したんだって?」
カエデちゃんが聞く
「うん」
「でね?それからすっかり元気なくしちゃってるの」
私が話に入る
だって私の席、渚の後ろでカエデちゃんが斜め前だもん♪
「あんなに落ち込む事ないのにね、今まで誰も成功してないんだから」
カエデちゃんの言葉に、確かに同感
でも、彼なりに何かあるんじゃないかな
殺せない先生
ついたあだ名が
《殺せんせー》
「どうだ、奴を殺す糸口はつかめそうか?」
教室に入って来て、言葉を発したのは防衛省特務部の烏間さん
「無理ですよ、烏間さん」
「速すぎるってあいつ」
悠馬の言葉のあとには三村くんが答える
「ねぇー、烏間サン、殺せんせーの今日の放課後の予定知ってるー?ニューヨークまでスポーツ観戦だよー?マッハ20で飛んで行く奴なんか殺せやしないよ!」
私も参戦する
「その通り、どんな軍隊にも不可能だ、だが君達だけはチャンスがある」
「なんでー?」
「奴は何故か君達の教師だけは欠かさないのだ」
「何でかねぇ」
「放っておけば来年3月、奴は必ず地球を爆発させる、削り取られたあの月を見ればわかる通り…その時人類は一人たりとも助からない」
この話にみんな、7割方蒸発した月の事を想像するだろう
「奴は生かしておくには危険すぎる‼︎この教室が奴を殺せる現在唯一の場所なのだ‼︎」
落ちこぼれクラスの私達E組に与えられたのは…地球を救うヒーローになるチャンス
けど、まだ分からないことだらけだ
なんで先生が地球を爆破しようとしているのか
そして、どうしてそんな時に…私達のクラスに担任としてやってきたのか
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり、私は帰りの準備をする
杉野がいない事に気付き、辺りを見渡す
すると、グラウンド近くの草むらでため息をついているのが見えた
だから
行ってみた