第20章 story ポルナレフ
「…生きていてくれてよかったと、俺は思うぜ」
「なに、言って」
「亜理紗だけでも生きていてくれて、よかった」
ポルナレフは強がりだから、きっと私の前ではこう言っている。家に帰ればシェリーではなく私が死んでいたらと悔やむはず。寧ろそう攻め立ててくれないと生き残ってしまった私は苦しすぎる。
「…シェリーのかわりに、なれないのよ」
「なれなんて言った覚えはねぇ」
「妹じゃ、ないの」
「そんな事は知ってる」
「…何で、怒ってくれないの」
いっそ殴ってくれれば気持ちがいくら楽になるのか。
いっそ怒ってくれれば気持ちがいくら楽になるのか。
いっそ殺してくれれば気持ちがいくら楽になるのか。
それを私だけではない、ポルナレフだって知っているはずなのに絶対にそれをしない。とことん私を追い詰めたいのか、どうなのか…それはわからない。
「…お前とシェリーは違う」
そういって私の身体から離れる。
「比べるまでもねぇ、どっちも大切な家族だ」
「家族…って…」
「…俺は、お前と一緒に生きていくつもりで親にも、勿論シェリーにも言っていたんだ。シェリーはお前を家族だと思っていた」
初耳だった。
「シェリーは死んだことに後悔はしてねえだろうな、お前を守れてよかったって笑ってるはずだぜ」
…そんなこと、聞いていない。
この話になってから私はポルナレフと別れるつもりでいたのに。シェリーを守れなかった時点で私はもう彼の隣に立てるわけがないと思っていたから。
「亜理紗が泣いてちゃ、シェリーも悲しむだろ?」