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ジョジョ短編集

第19章 It's a secret. DIO



私にははるか昔の記憶があった。簡単に言えば生まれ変わる前の記憶。それも前世のそのまた前世まで。
それが私の前世の記憶だったんだと気が付いたのは6歳の時、何気なく書いていた日記を書きたくなくなり、一日だけサボってしまおうと昼寝をしたときの事だった。夢の中に自分とそっくりな若い女性が現れて、

―決して絶やしてはなりません

そう言って幼い私の頭をゆるりと撫でて消えてしまった…、そんな夢。
そして私は直感で思った、ああ、あれは私だったんだ。と。
まだ幼かった私にとってはそれまでの理解だったけれど、大きくなるにつれて『あれは私だった』という考えが深まり『あれは前世の私だ』という解釈になっていった。それに加え、記憶が示すとおりに出かけてみるとあの日記たちに出会うことができた。
それが確信に変わったのは読んだこともないイギリスの文字が読め、そして読むにつれ記憶と言う映像が頭の中に鮮明に流れだしてから。


そうして10歳になり、DIO様と出会い、私は恐怖するより懐かしいという気持ちが溢れた。私はこの人と生きなければならないんだと。

―ディオを愛している、だからあの人の糧となれるのなら

何か水のようなあとを残して日記を終わらせていたので私はこの人が本当に好きなのだと理解した。
その水のようなあとに触れれば遠い昔の私の記憶は蘇る。
それは金色の美しい髪をした男性に抱かれ、優しい笑みでささやかれた言葉。直後に襲った頭への痛み。それを最後に意識を手放し…私は死んだ。

33冊目の最後のページには、くしゃりと手で髪を握ったあとが残っている。それに触れると、またその時の記憶が映像として頭におくられる。
寂しさ、虚しさ、それが心を駆け巡り自然と涙が出てくる。見つけられなかった、愛するあの人を見つけることができなかった。
その時の私は海で死んだ。最後に言葉を交わした男性…確か名前はジョセフ・ジョースター、彼は私が死ぬと聞いたとき待てと腕を掴んで止めてくれていたけれど私はそれを振り切って海に飛び込んだ。
私にはあの金髪の美しいディオがいなければならないのと、そう泣いていた。


そして今、45冊目。インクがこぼれている。一滴だけポツンと。
これで私の望みはかなった、再びDIO様…ディオと出会うことが叶ったのだから。


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